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京野 誠 「ひとつえらぶとしたら」

海と空が交わることはあるのだろうか

空 1

僕はいつからか空が好きだ。

空はひとつづきで、昔好きだったあの子が今この瞬間同じ空を見ていたりしないだろうか、なんてスピッツの歌詞に重ねたりしながら仰ぎ見る東京の空はビルの狭間で小さく切り取られて僕を見降ろしてくる。

 

東京の空は狭い。

それは地上から見た空だ。

東京の空は高層ビルの上から、もしくは車に乗って見るものだ。

つまり東京の空は金持ちのものなのだ。

 

空の表情はあっという間に変わる。

雲は風で流れ、日が沈むにつれてどんどん色が変わっていく。

けっして待ってはくれない。

 

今年ももうすぐおしまいだ。

歳をとるにつれて月日の流れがどんどん早く感じる。

年末には誰もが1年を振り返り、翌年の抱負を語る。

「節目」というのは便利だ。新年には過去がリセットされた気分になる。

 

しかし、潜在的には多くの人が過去に引きずられている。

その多くは人間関係において、である。

夫婦喧嘩などというものはその最たるものであると常々思う。

節目でリセットはされない。

 

僕は実家に戻るたびに親の夫婦喧嘩に巻き込まれているが、外から見ていると、そのコミュニケーションエラーはいつ起きたのだろうと、もっと早くに修復できなかったものかと首をひねる内容ばかりだ。

僕は、出口の見えない議論で足かせになっているのは感情論であると思っている。

そうなると外野は口出しできないし解決は難しい。

それが他人であれば割り切れるようなものでも、家族の喧嘩は血で血を洗う戦闘となるから非常に厄介だ。